【特集インタビュー】Niksen・木下有里さん「コーヒーの時間を愉しめる場所を作りたい」

「大好きなコーヒーの時間を、お客さんや店主の方々とみんなで愉しみたい」という想いから、高崎でスタートしたコーヒーフェスティバル「珈琲愉時」。主催者である「Niksen」のオーナー・木下有里さんに、「珈琲愉時」に込めた想いを伺いました。

コーヒーの時間を愉しめる場所を作りたい

−−11/25、26に「GUNMA COFFEE FESTIVAL『珈琲愉時』」を開催することになったきっかけを教えて下さい。

木下:コーヒーが好きなので、もともと県外でやっているコーヒーフェスによく行っていました。その後、2020年に高崎にスペシャリティコーヒーの店「Niksen」をオープンしてから、群馬にもコーヒー好きの方やコーヒー屋さんがたくさんあることを知って。それなら群馬でもコーヒーフェスができるのではないかと思い、去年の夏に「珈琲愉時」というイベントを始めたことがきっかけでした。

−−初回は何軒のお店が集まったのでしょうか?

木下:3軒のコーヒー屋さんと開催しました。そこから何度か開催して、いまは大体の段取りや必要なものなども分かってきたので、最初のころよりは運営しやすくなったと思います。

−−その後、出店者数はどのくらい増えましたか?

木下:3店舗から始まって、冬に開催した2回目は10店舗ほど、年明けの春に開催した3回目は15店舗ほど、今回のフェスでは26店舗集まってくれました。

−−規模がどんどん大きくなっていますね。初回から「珈琲愉時」という名前で開催されていますが、どのような想いでつけたのか教えてください。

木下:シンプルに「コーヒーの時間を愉しみたい」という想いからつけました。いまのコーヒー屋さんはおしゃれで、ちょっと敷居が高いと感じるお店もありますよね。若い子が外からお店をのぞいた時に、コーヒーを淹れているスタッフが小綺麗な格好でかしこまっていたら、「入っていいのかな」、「どうやって頼んだらいいんだろう」と感じることもあると思うんです。コーヒーが好きな私自身もそう感じるくらいですから。それなら逆に、お店がフェスに出ることでコーヒー屋さんの方からお客さまに歩み寄ってもらって、会場の近くにいる若い子たちやご家族、散歩しているおじいちゃん、おばあちゃんたちが立ち寄りやすい場所を作って楽しめたらいいなと思いました。

−−素敵なコンセプトですね。

木下:実は私、数年前に大きな手術をしたことがあって。その時に「障害が残るかもしれない」とか、いろんなことを言われたので、だったらこれからはやりたいことをやろうと思いました。先延ばしにしていたら、もうできないかもしれないから。それがイベントを始めたきっかけでもあるんです。

「GUNMA COFFEE FESTIVAL『珈琲愉時』」のフライヤー。「県外から来た人に高崎のことを知ってもらいたいので、だるまを入れました」

「自分にできることだけを一生懸命やればいい」という気づき

−−フェスに関して、お客さまにおすすめの情報などあればお聞かせください。

木下:試飲チケットを販売するので、ぜひ購入していただきたいです。コーヒーって通常の1杯の量だと何杯も飲めないじゃないですか。なので、いろんなコーヒー屋さんのコーヒーが飲めるように試飲チケットを作りました。県内のコーヒー屋さんはもちろんですが、せっかくの機会なのでなかなか行けない県外のコーヒー屋さんのコーヒーも飲んでみてほしいです。

−−フェスを主催するにあたり、大変だったことはありましたか?

木下:コーヒー屋さんの想いがそれぞれ違うので、まずはいろんなコーヒー屋さんとお話をする必要がありました。でも、私が「これでいいだろう」と思うことも、出店者さんの中には「それはできない」というお考えの方もいて。例えば、深煎りと浅煎りのコーヒーを出すお店ではタイプも考え方もまったく違うので、その辺りの気持ちをひとつにして参加してもらうことや、宿泊や交通費などの費用がかかる県外の出店者さんは、その分もフェスで元を取れるようにしなければいけないという思いがあったので、プレッシャーを感じていました。やっぱり「スペシャリティコーヒーです」と謳っているからには売れないといけないし、収入にならないといけないし。でも、ある参加者さんが「人が集まらないのは自分たちがまだまだだということなので、主催の方は気にしなくていいんですよ」と言ってくれてから気持ちがけっこう楽になって「自分は自分にできることだけを一生懸命しよう」と思えるようになりました。

「Niksen」の店内には植物がいっぱい。ローテーブル席やソファ席、一人がけ用の席などがあり、その日の気分に合わせて好きな場所でコーヒーを愉しむことができる

1杯のコーヒーをいただきながら“何もしない”を愉しむ工場カフェ

−−木下さんが営んでいるコーヒー店「Niksen」についてもお聞かせください。

木下:「Niksen(ニクセン)」はオランダ語で“何もしないを愉しむ”という意味です。お店に来たお客さまが、何もしない時間をコーヒー1杯で長く愉しんでくれたらいいなと思います。開店と同時に来て、コーヒーを飲みながら勉強や仕事をして、何ならその辺りで寝てしまっている人もいて。そのまま夕方になってうちで夕方から出している定食を食べて、また勉強して夜に帰る、というような。外に看板をあまりつけていないのは、「この辺りにあるらしいよ」と探しながら来てもらいたいからです。外から見たらただの工場なのに、中に入ると意外と広かったんだと言ってくれる方もいらっしゃって。もともと学習塾を経営しているので、塾の卒業生もけっこう寄ってくれます。

−−最後に、「GUNMA COFFEE FESTIVAL『珈琲愉時』」をどんなフェスティバルにしたいと思いますか?

木下:たくさんの人にいろんなコーヒーを飲んでいただきたいのはもちろんですが、お店によってコーヒーの淹れ方が全然違うし、淹れる機械もお店ごとに工夫したもの使っているので、そんなところも見て愉しんでもらえたら。でも、一番はやはりコーヒー屋さんとの会話を愉しんでもらえるフェスになったらいいなと思っています。

木下有里さん
「Niksen」オーナー。ご両親が営んでいた工場を数名の建築学生とともに改装し、2020年工場カフェ「Niksen」をオープン。11月25日(土)、26日(日)に開催される「GUNMA COFFEE FESTIVAL『珈琲愉時』」主催
GUNMA COFFEE FESTIVAL「珈琲愉時」
日時:11月25日(土)、26日(日)10:00〜16:00
会場 : 高崎市役所前広場高崎城址公園(高崎駅西口から徒歩9分)
料金 : 入場料無料

Niksen

群馬県高崎市島野町35-6

営業日時:9:00〜14:00/17:00〜21:00(月〜木)、14:00〜23:00(金、土)、9:00〜18:00(日、祝)

Instagram:@cafe_niksen

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